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こんな夢を見た(一)~(六)




一、
     
こんな夢を見た。

いつものように楽天広場にログインする。

身に覚えのない記事がアップされていて

コメントが殺到していた。

写真とも絵とも判然としない不思議な画像が3枚と

手書きのような短いキャプション。

 「落書きされた本」

 「腕が3本の女性」

 「僕の死顔」

こんな物、見覚えが...あった。

前の晩の夢そのまま。

無意識のうちに"念写"をしたようだ。

ご丁寧にキャプション付きで。

削除しようとしたら金縛りにあい

...そこで目が覚めた。





二、


こんな夢を見た。

果たさねばならぬ用件が山奥にあり

三輪車を漕いで行くことにした。

始めは快適だったが

私鉄駅付近の国道で

かすめるように走るトラックの

撒き散らす黒煙に耐えきれなくなる。

三輪車を専用の駐輪場に預け

人込みを掻き分け、駅へ。

300円の切符を買ったが

下り路線だけ廃止されていた。

上りの終点に着いた電車を

いったいどうするんだろうと思いながらも

仕方ないので改札を出た。

トラックの黒煙は相変わらずなので

タクシーを拾う。

つづら折れの山道に差し掛かり

体が左右に揺れる。

ふと料金メーターを見ると

猛烈な勢いで回転している。

あわてて運転手に停止を命じる。

料金不足だ。

運転手と二人

途方に暮れて

そのまま霞のように消えて行く。





三、

こんな夢を見た。

私は、被告人席に立たされていた。

理由も分からないまま。

それにも増して不可解だったのは

その場の全員が

ビキニ・パンツだった事だ。

そしてそれぞれが

ポーズを取り鍛え上げられた肉体を誇示していた。

気になって自分の体に視線を落とすと

同じビキニ・パンツを穿いていたものの

私ひとりだけが、貧弱であった。

オイルで光った大胸筋を二度ピクピクさせてから

裁判長が、判決文を読み上げた。

「被告は

 全ての国民が当然果たさねばならぬ責務である

 筋力トレーニングを怠った。」

そこでいったん中断しこちらに背を向け

大円筋と広背筋に力を入れてから再開した。

「その行為は

 極めて悪質なもので

 社会に与えた影響は甚大であり

 なおかつ当法廷においてもポージングを行わず

 改悛の情は見られない。」

向き直り上腕二頭筋・三頭筋を

私に見せつけるようにして続けた。

「よって被告を死刑とする。」

私は抗議しようとしたが

廷吏の盛り上がった僧帽筋に担がれ

退廷させられた。

私は、この国に生まれた事を後悔した。

理由も分からないまま。





四、


こんな夢を見た。

...地獄の責め苦で呻いていると

ひと筋の糸が天から垂れてきた。

クックックッ。

俺はこの瞬間を待っていたのだ。

そのために俺は

暇さえあれば辺りを観察し

巣から落ちた蜘蛛を見つけて、戻してやったのだ。

拾いあげる時には文字通り虫唾が走ったが

とうとう報われるのだ。

...俺は糸をたぐり寄せ、スルスルと昇り始めた。

蜘蛛を助けてから

俺は部屋を改造し、ロープを昇る練習を繰り返したのだ

全ては、この瞬間のため。

...しばらく昇ってから、頃合を見て下を見てみた。

思った通り、他の愚かな亡者共が

糸にぶら下がって、もがいていた。

そんな事はお見通し。

こんな引っ掛けに騙されるような馬鹿ではない。

笑いをこらえるのに苦労したが、優しく声をかけた。

(もちろん、これも練習済み)

「大丈夫です、糸が切れる心配はありません。

 皆で助け合って、極楽へ参りましょう。」

もう、これで大丈夫。

...どれぐらい昇っただろう。

とうとう、極楽への入り口に達した。

俺は、晴れやかな気持ちで戸を開けようとした。

...開かない!

なぜだ。

これまでの経過を振り返ったが、何も間違えていない。

俺は完璧だったはずだ。

...一枚の紙切れが風に舞っているのに気付いた。

糸からかなり離れていたが

手がかりになりそうなのは他になかったので

無理に体を伸ばし、その紙を手に取った。

"スベテ、オミトオシ"

...その文字を読んだ時

すでに俺は体のバランスを崩していた。





五、

こんな夢を見た

醜い顔を隠すためにマスクをしていた

心優しき人々は口を揃えてこう言った

「人は外見じゃない。内面が大切ですよ」

マスクを外すと

人々は目を背け、精一杯の親切でこう言った

「整形手術を受ければ、明るい人生を送れますよ」

マスクを外した私の姿を見ても

表情を変えない人がいた

目が見えないのだ

私はその人の手を取り、火傷の痕を触らせた

反射的に手を引っ込め

怯えを無理に笑顔で繕うのを見逃しはしなかった

歩行者信号が赤なのを確認し

私はその手を引いて歩き出した





六、

こんな夢を見た。

クリスマス・イブ

僕の部屋で2人きりの夜を過ごしていた。

電話も無視していたが

2人とも兄のように慕っていた先輩の

至急という留守録が入っていたので

仕方なく次にかかって来た時に出た。

今、目の前に座っている娘が

数日前、これまた共通の先輩に誘われて

ショッピングをし、夜景を見に行き

告白されたという内容。

認めたくなかった。

誘いを断らない優柔不断さも

その結果、相手に勘違いさせてしまった軽率さも

隠そうとした不誠実さも

そのくせ第三者に漏れてしまう不徹底さも

そのせいで、有り得ないほど最悪の状況で

気まずさを分かち合ってしまった事も。

何もかも認めたくなかった。

...そんな夢だった。




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